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一瞬の永遠

by mariko


介護の 仕事をしていた頃。

毎日、おじいちゃんおばあちゃん に
「おはよう」 と言って握手をするのが
毎朝のあたりまえだった 。


『 おはようさん。今日もあんたの顔見れて心が晴れ晴れするわ。おおきんの~』
と、強くはないけど、シワシワの手
で握り返してくれるあったかい手。


優しい眼差しで
『なんや~あんたか~。よーこんな年寄りのとこに飽きもせんと毎日毎日。』
と言いながら、頭を撫でてくれる。


記憶を留めておけなくて、10分ごとに、『はじめまして。あんたの在所はどこけの〜?わたしは村のもんやさけ〜、姉ちゃんみたいな若いもんに会えて嬉しいです』と、涙ぐんで両手を合わせて拝む。
10分毎のはじめまして。


音が聞こえなくて、話をすることを諦めてしまったおばあちゃん。
わたしが腰を落として、目線を合わせると、おでこにおでこをくっつけて、クシャクシャの顔で笑う。


目が見えないはずのおばあちゃん。

桜の花びらをそっと手のひらに乗せると
見えないはずの桜を綺麗と言う。


そんな、あたりまえだと 思っていたやりとりも、突然、出来なくなってしまうことなんて数え切れないくらいあった。


あったかい手も、冷たくなって、
おはよう って言っても声は返ってこなくて、 頭を撫でてくれたしわしわの手も
動かなくなってて。


今ならわかる。
笑顔でいることで、
笑顔をもらっていたこと。
お仕事だからとかそんなの抜きで、
そこにはいつも、無償の愛があったこと。



おはよう 。 も
またね 。 も
こんなに尊いことだってこと。


伝えられる術があるなら、
それが声でも、文字でも、笑顔でも
伝えることを諦めたくない。


たとえ言葉にできなくても
届かないと分かっていても
"大切に思っています"
"ありがとう"
そんな柔らかな気持ちはいつか のわたしに届く気がする。



大切な時間はいつも足早に
過ぎていく。

きっとあっという間に時間は
過ぎていくから。

同じように季節は巡っていくかもしれないけれど、その中でも変わっていく風景や気持ちを、小さな変化を、あなたの声を、私の声をしっかりと感じ取りながら過ごしていけたらいい。


もうきっと、会えないひと。
ずっと一緒にいる人。
道端ですれ違うだけの人。


これからも たくさんの人と
出逢い 、わかれる 。
目の前にあるもの、こと、ひと。
どれも、おざなりにしたくない。



どう過ごしていきたいか。
どう在りたいか。
どう生きていきたいか。


自分の心に素直になりたい。


永遠なんて一瞬で終わってく。
一瞬なんて永遠に続いてく。








mariko
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